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明るい絶望。



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that i had seen at last night...

悪夢
真っ白に降り積もった雪。私の田舎、雪国の冬にいた。私はどこか、高い所から、屋根の雪下ろしをするじいちゃんの姿を眺めていた。その時だった。じいちゃんがスコップ一杯の雪の塊を投げ捨てた瞬間、屋根に厚く積った雪が流れた。じいちゃんの足元にあった雪も流れて行く。じいちゃんも流れて行く。流れて行く。宙に舞う白い雪。宙に舞う私のじいちゃん。しかし次の瞬間。じいちゃんは、なんと、奇跡的に、着地に成功した。地面に敷き詰められた雪がクッションになって、奇跡的にじいちゃんは生きていた。じいちゃんは何事もなかったように3歩あゆみを進めた。しかし。倒れて行く。倒れて行く。スローで雪の絨毯に。倒れて行くじいちゃん。私は思う。誰か助けを呼ばなければいけないと。声が出ない。誰かをよばなければならない。声が───
心臓は高鳴り、過呼吸で意識が戻った。
そんな、私の悪夢───。

いとこ
これは誰にも言っていない。初めて、ここに暴露する。
私のいとこは27歳になる。彼は元々静かで感情を露わにしない人だ。自分の世界を胸の奥底に秘めている、「何を考えているか解からない」人だ。
彼は親元から離れて暮らしている。今はレストランの厨房で働いている。
私は彼と、ここ数年は逢っていない。
彼には10歳年上の彼女がいる。私は彼女と逢った事が無い。母が言うには厭な女らしい。母の話を聞いた限り、彼女は計算高くて私のいとこの事を愛してはいるけれど、彼と結婚できるなら何の手段も選ばない女のように思えた。
それは限りなく偏った感想だと解かっている。
しかし、それを証明するような出来事が最近あった。
彼女が、妊娠した。3ヶ月だそうだ。私のいとこは暫く放心状態で口も利けなかったらしい。ショックだったのだ。きっと。
彼らは何れ、結婚するのだと思う。
彼が例え、彼女を愛していなかろうと、彼がそれを口にしなければこのまま周りに押されて結婚するのだと思う。彼はそういう人だ。彼女に押されてここまで来てしまっただけだ。妊娠だって、彼女が仕組んだのかもしれない。もしかするとそうかもしれない。そうじゃ、ないと思うけれど。
ただそれだけの、有り触れた出来事が、私にはどうしても非日常的な印象を与えた。私のいとこは結婚するのだろうか。
27になるいとこも、36になる彼女も、あまり、良い月給は貰っていないと思う。彼らに、一つの家庭を自分達だけで築けるだけの経済力があるとは、私には思えない。私のいとこが、誰かを本気で愛す日が来るとは、私には思えない。
そんな、いとこの話───。
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